さて、アールマティと名乗る少女と一緒に遺跡を出ようと道を進むオルムですが、物事がそう簡単に進むはずも無く。
彼らはしばらく遺跡を進んでいると、巨人に出会ってしまいました。
その巨人はとても長い腕を持っていて、岩のような皮膚に乱杭歯というとても恐ろしい形相をしていました。
腰蓑さえ着けていない巨人は、轟、と一声吼えて二人に襲い掛かります。
鋭い爪が振り下ろされようとした、その刹那。
アールマティは、わざわざ巨人たちが共通語として使っている言葉で小さく呟きました。
「何なの、あの醜い(検閲)ってー?」
と。
可憐な少女の口から出たとは思えない言葉の破壊力は凄まじく、巨人のみならずオルムまで朽木が倒れるかのように崩れ落ちます。
「ア……アールマティ……。もうちょっと言葉を選ばないと……」
倒れたまま呻くように言うオルムに、彼女は「ゑー」と爽やかな笑顔で答えます。
「だって、あんな粗末な(検閲)を恥ずかしげもなく(検閲)だっていうのに、平気な顔をして(検閲)なんですよー?」
怒涛のマシンガントークのダメージによって突っ伏したオルムは、心の中で「まず彼女には、公の場で言ってはいけない言葉を教えないとなー」などと考えていました。
しかし彼のダメージなどマシなほうで、当の巨人はというと鼻と耳からどくどくと血を溢れさせ、巨人語で何かうわ言を言っています。
それを聞きつけたアールマティは巨人の側に歩いて行くと、耳元でボソリと呟きました。
「(検閲)」
絶叫が洞窟を震わせ、巨人はもがき苦しみます。
それも僅かな時間のことで、やがて巨人は大きな石になってしまいました。
舌先三寸で恐ろしい巨人を倒してしまったアールマティは、てへ、と舌を出すと
「ちょっとやり過ぎちゃったかなー?」
と呟きました。
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