ある所に、オルムという若者がいました。
おしまい。
「……勝手に終わらんで下さい」
これは失礼。
******
気を取り直して。
ある所に、オルムという若者がいました。
長身痩躯で優しい性格をしており、街の女の子にもそれなりに人気。
しかしてその実態は、ただのロリコ(打撃音)
「好き勝手言うなや」
石を投げないで下さい。
しかしてその実態は、ただの酒場のマスター見習でした。
……ああ、ついでに遺跡学者でもって遺跡荒らしだったりするけど。
そんな彼は今、とても困っていました。
街の近くに未発見遺跡があった、という話を聞いて探索に出たのが三日前。
遺跡について捜索を開始したのが一日前。
そして今、彼の目の前には10歳くらいの ι ょ ぅ ι゙ ょ
が変な魔方陣の中、裸で浮かんでいたのです。
「…………これは、何か。俺に本能に忠実な行動を取れ、という神からの啓示か何かですか」
呆然とつぷやく青年に対して、誰かが答える訳はありません。
なにせここは地下深い遺跡の最深部なんですから。
青年はしばらくどうしようかと悩んだ挙句に、変な魔方陣を正確にメモ帳に転写してから、魔方陣を壊してしまいました。
件の少女は魔方陣が壊れると同時に目を覚ましました。
そして自分が裸だということに気付き、とても困った顔をしているオルムに言いました。
「…………性犯罪者ですかー?」
少女の心理攻撃を受けて心の中で苦痛の悲鳴をあげつつ、オルムは少女に毛布を渡し、事情を説明します。
事態が飲み込めた少女はにっこりと微笑むと、穢れの無い瞳でオルムを見つめつつ、こう告げました。
「さっきから、息が( ゚д゚)ハァハァしっぱなしですよー」
再び心理攻撃を受けて膝から崩れ落ちたオルムはぐったりしつつ、それでも力を振り絞って彼女に告げます。
「あー……。俺の両親はこの遺跡の近くの街で酒場をやっていて、人が一人くらいならしばらく居候できるんだ。君の事情は分からないけど、よかったら来ないかい?」
少し考え込んだ少女はやがて肯くと、にっこり笑って言いました。
「私はアールマティです。よろしくー」
******