第16話:インド洋の死闘
 なぜだか良く解らないのですが連合軍はザフト軍の拠点を攻撃するためのひみつ基地を建築中。



 現地徴用の民間人を強制労働させて。



 ……小銃で武装した兵士が労働者を監視しつつ、フェンスの向こうには家族が心配して見守りに来ているという微笑ましい構図。
 一見すると非道の地球連合軍が発展途上国の人間を奴隷扱いして労働させとる様にも見えますが……冷静に考えたら地球上の8割方を抑える超大国が、専門技術も持ってないような原始的なマンパワーを必要としてるわけ無いですよね?
 施設隊召集してMSでも使って任務に当たらせれば、通常の手当て支給して千倍の効率で仕事するでしょう。

 では、なぜここまで非効率的な基地建設を行うのか?
 恐らく、こいつらここまでしてやらないと仕事も無いほど貧しいのでしょう。
 半世紀前ならともかく、未来世界のコズミック・イラにおいてわざわざ手作業で基地建設しなきゃならない理由はちょっと考えにくいです。
 基地がアール・デコ様式だってんなら話は別かも知れませんが。

 どっちにしろ機密保持やらなんやら後々面倒な事になるのは間違いないのでザフトの反連合プロパガンダじゃなきゃ普通は身内の施設隊使うでしょう、そのために給料払ってるんですし。

 それに気になることがひとつ、連合のような超大国ですら基地建設がこのレベルだとしたらオーブに有ったアークエンジェルの地下秘密ドックを建設する時には……まさか、極秘で地下に700m級の艦を整備するドック建造しておいてクリーンな手段しか使ってませんなんて卑怯な寝言は言わないでしょうね? 監督。
 

 さて、ここにやってきたのはフラガ兄さんと腰ぎんちゃくの3人組。
 なんでもザフトへ攻撃するのに戦力を貸してほしいとか、しかも全部。
 SEEDに出てくる主要人物って基本的に「相手は泣き寝入りするのが普通」だと本気で思い込んでるらしいのがちょっと怖いですね。



 そんなこんなで押し寄せる連合の部隊。
 みんなの嫌われ者、宴会部長シン・アスカは強権を手にした艦長の陰湿なイジメに遭い、単独での出撃を命じられます。
 おそらく一人だけ勲章を貰いやがったのがクルーの逆鱗に触れたのでしょう。
 30機を越える敵に一機で対峙させられるシン。
 いくらSEEDのMSは回避機動が取れない構造になってるからってあんまりです。
 そこへ颯爽と現われたアスラン「俺の支持に従え」
 とにかくこの作品、宴会部長が活躍しそうになると誰かがケチをつけます。
「出過ぎるな」
 アスランの台詞を当然の様に正しく解釈する視聴者。

 もう、SEED主要キャラの中では公序良俗に反する猥褻物扱い、とにかくシンがTVに映る事を徹底的に弾圧します。
 そうこうしているうちに基地に近づいていくシン。
 露骨な使いまわしにより水面を駆けるガイアガンダム、冷静に考えたらこいつらの機体がそれぞれ個別に名前呼ばれたのは16話目にして初めてだと言う絶望的な現実はどうしてくれるんでしょ?
 なんやかやしている間に冒頭の基地建設現場に接近、逃げ惑う労働者たち、逃げ出す民間人を射殺する連合の兵士。




 えー、なんでしょうね? これ。
 確かに小銃持たせて突撃させた兵士が逃げ出さないように後ろから機銃掃射して逃亡兵を片っ端から撃ち殺したり、尻込みしないように指揮官が景気付けとばかりに後ろから手榴弾放り投げて、必死で走らせたりとかそういう無茶苦茶やってた軍隊は確かに存在しました、しましたけど……ね?
 今回、連合の兵士が撃ち殺してたのは非戦闘員どころかただの土木作業員。
 はっきり言えば戦闘になれば邪魔以外の何者でもありません。
 何しろ連合の兵士が自分たちで撃ち殺しちゃ弾除けの盾代わりにすらならんわけですし。
 


 この辺り、本気で嫌悪感覚えちゃってイタイ戦争論でも一説ぶち上げようと色々考えましたが、当HPの方向性を鑑みるにあまり真面目に戦争語るのも拙いと思いまして割愛。
 その変わりにちょっとステキエピソードを。
 ナチスドイツでは冬用の野戦服の素材となるウールの不足に困りました。
 悩んだ末に「そーだ収容所のユ○ヤの毛を刈って生地作りゃいいじゃん、なんせタダだし
 という結論に達し、通常「アンネフランクファイバー」なる生地の野戦服を作っちゃいました。
 また、ある時、兵士に支給する石鹸の不足に困ったナチスは悩んだ末「そーだ収容所の○ダヤから、脂肪を搾り出して水酸化ナトリウム入れて石鹸作ればいいじゃん」という結論に達し……試作品まではこさえたのですが「普通の油使ったほうが安くない?」という理由で結局量産はされませんでした。
 解り易く言うと軍隊というのは「あいつらが嫌いだから」という理由で虐待したり「人道的に問題あるから」虐待しなかったりする訳じゃない。
 正しいか正しくないかは別にして軍隊というものは利益にならないと思ったら例えナチ公でもやらないと言う事ですね。
 まあ、ナチスにはヒゲのおっさんみたいに「でかくてカックイイ列車砲撃ちてー」とかの「理由」で兵士に多大な迷惑かける奴も居ましたが。
 


 何はともあれ宴会部長は売国奴アスランなんかに命令された腹いせとばかりに基地を破壊、連合の兵士を皆殺しにして憂さをはらしてついでに強制労働させられてた民間人を逃がして上げます。



 当然、アスランの逆鱗に触れる宴会部長。
アスラン「戦争はヒーローごっこじゃ無いんだ! 俺とキラ以外はなっ!!
 ジャンピングスローで手にしたヘルメットをシンの脳天に目掛けて振り下ろすアスラン。
アスラン「大きな力には大きな責任が伴うんだよ! 3隻同盟以外はなっ!!
 首が体にめり込んだ宴会部長をデンプシーロールで左右から連打連打連打!
 倒れる事も許されずに滅多打ちにされるシン・アスカ。アスランが手にしたヘルメットはイビツに歪んでいます。
 ヘルメット以上に変形するシン・アスカの頭蓋、しかしこれは当然の報い。
 SEEDの世界ではキラ・アスラン・ラクス・カガリに逆らうと基本的に死にます。
 アスランの猛攻を前にしてついに力尽きた宴会部長。
 しかし「シン・アスカの分際で生意気だ!」と猛り狂うアスランはシンの上に馬乗りになると両手で首を締め上げました。
 背中に嗤う鬼の形相を浮かび上がらせシンの高等部を激しく打ち付けるアスラン。
 既にシンの心臓は鼓動を止めてしまいましたがアスランの攻撃は止まりません。
「この劣等民族のオーブ移民が! プラントに飼われている恩を忘れたか!? 貴様のようなシスコン如きが専用機など一万年早い!」
 シンの懐から亡き妹の携帯を取り出すとアスランはマユの留守電メッセージをラクスの説教に入れ替えてしまいました。

「(ぴっ)ザフトは直ちにジェネシスを停止しなさい!
 核を撃たれ、その痛みと悲しみを知る私たちがそれでも同じ事をしようというのですか?
 討てば癒されるのですか!?
 同じように罪無き人々や子供を、これが正義と互いに放つ放火が何を生んでいくのか、まだ分からないのですか!?
 まだ犠牲が欲しいのですか!?(ぴっ)」


 あんまりです。
 戦場へ泥棒に乗り込まれここまで言われちゃ誰だって言うこと聞けません。
 仮死状態になっているシンの耳元へ携帯を近づけ、音声を再生!

 ラクスの説教を聴くことを拒否したシンの脳みそは彼の耳から脱出を始めます。
 恐るべしラクスの演説、平和のためとは言え、言い方ってもんがあるでしょう。

 なんにせよ、以前プラントに穴を空けられた時に議長を始め艦長もシンもレイも全員見事にスルーした前科が有る位ですので、むしろ命令違反云々よりも「シンの分際で人助けした」事を責められてるんでしょうね。

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